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2025/02/23 21:01

近衛家の方が着ていた振袖 黒縮緬地雲橘冊子模様振袖
最も地味な黒色に豪華な柄が よく合う振袖です
現代の赤や緑に派手な柄より高貴な感じがします

~以下、この振袖と柄についての詳細説明~
黒縮緬地雲橘冊子模様振袖
 黒縮緬地に、友禅染を中心に合成糸の銀糸と本金糸の駒縫(こまぬい)に金砂子と金泥を併用して、
雲・橘・冊子の模様を表す。胴裏のみ赤平絹(あかへいけん)を配する共裏仕立て。
式三献(しきさんこん)(三々九度)から着用した婚礼衣装である。
 江戸時代、平安時代を連想させる事物が吉祥の意味を持つと考えられた。
戦国の世が終わり、平和な時代を迎えて、支配階層である武家や富裕階層である町人は源氏物語や伊勢物語といった平安時代の文学に親しむ余裕ができた。
そうした中で平安時代を古き良き時代として理想化していき、この時代を連想させる御簾や几帳、御所車(当時の高級車)、檜扇といったものに吉祥の意味を含ませるようになっていった。絵巻物にしばしば描かれる雲や霞もまた、王朝時代を連想させる添景と考えられた。
 また橘も伝統的な吉祥模様である。古事記には、垂仁天皇が田道間守(たじまもり)という人物を常世の国に遣わして非時香木実(ときのじくのかぐのみ)と呼ばれる永遠の命をもたらす果実を持ち帰らせたが、この果実が橘であると記している。
こうしたことを背景にして、橘が吉祥模様として表される時には必ずその実が描かれ、その表現も例外なくハートに似た丸形の果実の上方に三枚、下方に二枚の葉をつけるという決まりになっていた。
吉祥のシンボルとして誰でも一目でわかるようにするためである。

ひふみ屋

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